昨日の話だけど

トリビアの泉。「『アルプスの少女ハイジ』映画版のペーター役はチャーリー・シーン」というネタがあったが、さすがに世界的ベストセラーだけあって、こちらのデータにあるだけでも、ハイジの映画は10本以上あるんだそうな。当然番組で取り上げられたものも入っているわけだが、ここで注目したいのは、2001年に原作者ヨハンナ・スピリの没後百周年を記念して作られたというハイジ。記念ものだから原典に忠実なのかと思いきや、これが大間違い。携帯電話やインターネットも登場する現代版『ハイジ』で、こちらの紹介記事によると、

原作では純朴なヤギ飼いだった親友ペーターが、映画では米ボストンから戻ったばかりの野球とハンバーガーが大好きな少年という設定で、インターネットでハイジと連絡を取り合う変わりよう。ハイジがおしゃれで髪を青く染める場面も。

そりゃアレンジしすぎなんでは…それほど古い話でもないし、アニメの熱心なファンの間では一時期ちょっと話題になったらしいが、日本での公開やソフトの発売はされていないところを見ると、それほど一般的な話でもないのかな。

ようやくイノセンスを見てきた

公開一ヶ月も経った平日の昼間だけあって、かなり空いていたのだが、その少ない観客の中にも日テレに騙されたカップルがいたところを見ると、一応デートムービーとして認識されているようで、あの大量宣伝はそれなりに奏功したということか。
ロビーで近くに座っていたカップルの香ばしい会話(要約)
男「とにかくイノセンス見ろって。絶対泣けるから」
女「見たの?」
男「見てたら来るわけないじゃん」
…上映終了後の会話も聞いてみたかったところである。
私の感想はと言えば、映像はもちろん凄かったし、音楽も激しくツボだったけど、なんか後から思い出そうとするとバトーもトグサもイシカワも、全部のキャラクターが全編にわたってどこかから引用してきた台詞を喋っていた、という印象ばかりが強い(何回か見たら印象も変わるのかも知れないが)。前作を見ていないと解りづらい箇所も多いし、テレビの宣伝に乗せられて見に行った人にはちょっと辛かったんじゃなかろうか、という気はするな。あと竹中直人はもっと喋りまくってくれるかと思っていたのでちょっと残念。
つうか3列前に座ってたカップル!上映中に席を立つな!戻ってくるときにスクリーンの前を横切るな!あと上映中にいちゃいちゃすんなちゃんと映画を見れ映画を!

コージィ城倉『おれはキャプテン』①、②

個人的には今少年誌で最も楽しみにしているマンガの一つ。なかなか単行本が出ないなと思っていたら2冊同時発売だった。
作者が森高夕次名義で原作をやっている『ショー☆バン』でも言われていることだが、こちらもとにかく地味。だが面白い。まあ『ショー☆バン』は、地味とは言っても、番太郎やノブチンが才能に恵まれた選手として描かれているし、監督はドラフト指名まで受けた人という設定だから、多少はスポーツマンガのキャラクターらしいキャラクターがいるマンガだと言えば言えなくもないが、『おれはキャプテン』の方はそういうキャラクターがいないんだから、ある意味『ショー☆バン』に輪をかけて地味なマンガと言える*1
考えてみれば一介の中学生の部活なんて地味なのが当たり前なのだ。しかしそれを地味なまま描いたら大抵の場合マンガとしてあまり面白くならなかったりする。その「部活動としてのリアリティ*2。」を保ちながら、読ませてしまうところが凄い。
「『ショー☆バン』は打撃や守備、ピッチングの技術的な解説が優れていて、読んでいると野球をやりたくなるマンガだ」というような文章をどこかで読んだことがある。対して『おれはキャプテン』の方は、タイトルからしてもちばあきおの名作『キャプテン』を踏まえていることは多分間違いないわけだし、作中に出てくる「弱者の兵法」っていう言葉が示すように、平凡な人間がいかにして戦いに勝つかっていう、「キャプテンを中心としたチーム作りの側面から見た野球」に焦点を当てたマンガ、ってことになるのかなあ。まあ今のところは、カズマサの嫌な奴っぷりが突出しすぎていて、次はどんな唯我独尊の言動を披露してくれるのか、というちょっとひねくれた期待で目を離せなかったりするのだが。
あ、あと、さりげなく「『ボール球をキャッチングでストライクに見せる』ってのには信憑性がない」というくだりで水島マンガ的野球技術論(というほどのものでもないか)を否定していたりするのもポイントか?

*1:その分カズマサのところに「プレイヤーとしては突出した才能はないが、考え方はとにかく中学生らしからぬ嫌な奴」というアレな役回りが集中してしまったような気もするが

*2:まあ、特に才能に恵まれているわけでもない普通の中学生が、たかだか数ヶ月打撃練習を集中的にやったところで、いくら同じ中学生のボールとはいえバカスカ打てるようになるものか、といえば疑問だったりはするし、その辺はやっぱりいかにもマンガ的な嘘なんだろうな、とは思う

世棄犬復活?

 小梅けいと氏が巻頭カラーの『コミックメガストア』を買ってきたのだが、その巻末に「馬利権造」のマンガが掲載されていた。こんなペンネームでかぶる筈がないだろうし、これはやはり世棄犬=品葉諸友=博内和代であるところの馬利権造(VARYGONZO)なのだろう。前から作品ごとにがらっと絵柄を変える人だったが、今回は20年以上前の高橋留美子を彷彿とさせる絵柄*1で、一瞬これが本当にあの世棄犬か?と思ったよ。なんにせよほぼ2年ぶりの復活であり、喜ばしいことだ。これを機に『DOG MAN』以来の単行本発売、と行ってくれれば万々歳なのだが。

*1:つうか「精子バンク」ネタのマンガなのだが、響子さん似の女子行員の名札に「乙梨」なんて書いてあるから明らかに意識してやってますな

スーパースターズ変は…

 面白くないなりに気合いを入れて描いたりしてるのかな、と少しは希望をもってないこともなかったんだが、開幕戦に入ったらやっぱりプロ野球変と同じかな、という気がして、急速にどうでもよくなってきた。
 旧作で単行本にして数巻分にわたって試合を描かれてきた「立っている」キャラと、スーパースターズ変ぽっと出の名前と顔しか分からないキャラを同居させるには、新キャラをそれなりに立たせなきゃいけないわけで、やっぱりもう少し開幕前のキャンプなりオープン戦なりに話数を割くべきではなかったのだろうか。マドンナがいかに奇抜な守備(送球フォーム)を披露したところで、そこに至る何かが読者に明らかにされないことには、それがどうした、という話にしかならないよなあ。
 その上、旧作キャラの方だって、高校野球時代そのままの攻防を繰り広げているだけなので(まあ、里中のスカイフォークとか知三郎のドックル*1とか土門のカミソリシュートとかの例外はないわけでもないが)、結局過去の遺産でしかない。だったら素直に『ドカベン』なり『大甲子園』なりを読んだ方が面白いに決まってるんだよなあ。

*1:もっとも彼はドックルを会得した替わりに『大甲子園』時代に持っていたはずの投法を忘れてしまっているのだが