コージィ城倉『おれはキャプテン』①、②

個人的には今少年誌で最も楽しみにしているマンガの一つ。なかなか単行本が出ないなと思っていたら2冊同時発売だった。
作者が森高夕次名義で原作をやっている『ショー☆バン』でも言われていることだが、こちらもとにかく地味。だが面白い。まあ『ショー☆バン』は、地味とは言っても、番太郎やノブチンが才能に恵まれた選手として描かれているし、監督はドラフト指名まで受けた人という設定だから、多少はスポーツマンガのキャラクターらしいキャラクターがいるマンガだと言えば言えなくもないが、『おれはキャプテン』の方はそういうキャラクターがいないんだから、ある意味『ショー☆バン』に輪をかけて地味なマンガと言える*1
考えてみれば一介の中学生の部活なんて地味なのが当たり前なのだ。しかしそれを地味なまま描いたら大抵の場合マンガとしてあまり面白くならなかったりする。その「部活動としてのリアリティ*2。」を保ちながら、読ませてしまうところが凄い。
「『ショー☆バン』は打撃や守備、ピッチングの技術的な解説が優れていて、読んでいると野球をやりたくなるマンガだ」というような文章をどこかで読んだことがある。対して『おれはキャプテン』の方は、タイトルからしてもちばあきおの名作『キャプテン』を踏まえていることは多分間違いないわけだし、作中に出てくる「弱者の兵法」っていう言葉が示すように、平凡な人間がいかにして戦いに勝つかっていう、「キャプテンを中心としたチーム作りの側面から見た野球」に焦点を当てたマンガ、ってことになるのかなあ。まあ今のところは、カズマサの嫌な奴っぷりが突出しすぎていて、次はどんな唯我独尊の言動を披露してくれるのか、というちょっとひねくれた期待で目を離せなかったりするのだが。
あ、あと、さりげなく「『ボール球をキャッチングでストライクに見せる』ってのには信憑性がない」というくだりで水島マンガ的野球技術論(というほどのものでもないか)を否定していたりするのもポイントか?

*1:その分カズマサのところに「プレイヤーとしては突出した才能はないが、考え方はとにかく中学生らしからぬ嫌な奴」というアレな役回りが集中してしまったような気もするが

*2:まあ、特に才能に恵まれているわけでもない普通の中学生が、たかだか数ヶ月打撃練習を集中的にやったところで、いくら同じ中学生のボールとはいえバカスカ打てるようになるものか、といえば疑問だったりはするし、その辺はやっぱりいかにもマンガ的な嘘なんだろうな、とは思う