なるたるのアニメ

 年明けから地上で放映が始まったので見ているが、聞いていた通りかなり原作に忠実だ(あのオープニングはどうかと思うが)。今晩放映の第7話では小沢さとみの失禁シーンもちゃんと描かれていたし。小学生編のラストにかけて、苛めシーンとかもかなり原作通りにやるとのことなので、その点は楽しみではある。
 んで、これを機会にと思って買うだけ買って小学生編のラストくらいまでしか読まずにいた原作全12巻を改めて一気に読み通してみた。連載時はよく分からなかった(というか間があきすぎてすっかり忘れていた)伏線も、通して読むとはっきり分かるし、きちんと最終回までの展開と着地点を考えた上でマンガをつくっていることには感心させられたが、そのことと実際にマンガが面白いかということは全く別問題であることもまた事実だ。なんというかそういう仕掛けを作ったこと(そしてその仕掛けにこだわりすぎたこと)が逆に足枷になってしまったのではないかという感じがする。『ヴァンデミエールの翼』は本当に面白くて、私のオールタイムベストに挙げてもいいくらいの作品だと思っているが、この『なるたる』の評価はやっぱりそれと比べると正直随分落ちるかな。
 思うに鬼頭莫宏という人は、あまり長編向きの作家ではないのだろう。『なるたる』も短編の方法論で長編を作ってしまったような作品のように思える。一ファンとしては、次回作は連作短編みたいな感じでお願いしたいところだ。